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『ブレイブ・ストーリー』 映画と原作

ブレイブ・ストーリー (上) ブレイブ・ストーリー (中) ブレイブ・ストーリー (下)

先日、映画『ブレイブ・ストーリー』を見ました。原作を文庫↑で読んでいきました。
以下、感想です。

※ネタバレを含みます。ご注意ください!!

(原作ファンの方は不快に思うかもしれません。併せてご注意ください。)





まず原作について。

宮部みゆきを読んだのはこれがはじめて。はじめは面白いなぁと思ってワクワク読んでいた。ところが上巻も真ん中すぎてもまだ冒険がはじまらない。何となく冒険ファンタジーだと思っていたのに…。でも面白いからいいかと思っていたら、上巻ももう終わるというころに、ワタルはやっと旅立っていった。

ファンタジーはそれほど面白いと思えなかった。というのも、純粋なファンタジーとはどうしても思えなかったから。ワタルが旅する先々で目にし、感じることは、全て現実の世界で起こっていることの投影。幻界は現実の世界と表裏一体のような関係にあるという設定上、当然のことなのだけれど、どうにもこうにも幻界が生々しい。人種差別、地域による経済格差、癒しを求める人々、などなど。

ファンタジーの皮をかぶっているだけだと思った。終幕は夢オチ??と思ってしまうようなもので(違うんだけど)、最後までファンタジーとしては楽しめなかったような気がする。

ファンタジーの要素を除くとこの小説はなかなか面白かった。恐ろしいほど現実味がある。簡単に答えが出ないような、でも現代でいくらでも起こりうる問題の数々。宮部みゆきのほかのものを読んだらこれより面白いんじゃないか、と思った。


次に映画。

原作を読んでから見たので、あの原作を忠実にアニメにしてしまったら夏休みなのに子どもには見せられなくなってしまうと思い、ちょっと心配だった。でも心配無用。随分子ども向けになっていた。

子ども向けにした分、主張はかなりそぎ落とされてしまったような気がする。原作のあの複雑さが好きな人にとっては、とても残念な出来なんじゃないだろうか。
私はファンタジーを軸にするなら、もう少し旅の部分を増やした方がいいと思った。旅の部分が音楽と映像だけで流されてしまっていた。あの描き方では、ワタルの最後の葛藤が何によるものなのか伝わりにくいんじゃないだろうか(原作を読んでいれば十分にわかるのだけれど)。

それでもあのラスト、ミツルの願いも一緒に叶ってしまっていて、「えー!」って感じなんですけど、あれこそワタルの願いなんだろうなと思えば、いいのかなぁという気がしています。救われない夏休みの映画ってどうかと思うから。

そして。
キ・キーマ役の大泉洋。あんなに大泉洋だとわかる形で声の出演というのは、はじめてなのではないでしょうか。楽しめます。キ・キーマの顔が大泉洋に見えてくるくらい。とてもいいヤツなのもうれしいところです。


原作と映画を比較して。

映画は原作と違って、運命の女神に願いを聞いてもらえる人は一人だけという前提がなくなってしまっていた。それってとても大切なことだと思うんだけど…。ワタルが幻界に行く前からミツルがいるんだけど、普通に考えたら二人で力を合わせればいいのに。願い事はたった一つって最後に急に出てくるのってどうなんだろう。

人は自分の思うこと(信念)のためなら何だってできる?何だってしていい?
これがテーマの一つだと思うのだけれど、これに関係して映画と原作で描き方が大きく違うのがワタルの父親です。
原作ではワタルの父親は自分の愛を貫くために、それまでの家族から離れて新しい家庭に入ります。今まで築き上げてきたいろいろなものを壊してまでも手に入れたい愛。私はそういうものに出会ったことがない。けれどもし出会ってしまったら、どうだろう。愛着では勝負にならないのかもしれない。そんなことを原作を読んで思っていました。
ところが。映画だと「夜遅くまでくたくたになるまで働いて、でもお礼も言われず当たり前のようで…」と、何だかとても甲斐性なしなお父さんになっちゃってる。びっくりしちゃいました。お気の毒。

映画、原作ともに言えることなんだけれど、もう少しミツルの心の動きを描いてほしかったなぁと思います。ミツルはなぜ、あそこまで自分の運命を変えること、ただそれだけを追い求めてしまったんだろう。自分しか頼りになる人はいないという孤独感?もう少し、ワタルとの違いがわかるといいなぁなんて思ったり。


【公式サイト】ブレイブ ストーリー
公式サイトのトップにある、原作者の宮部さんのことばを読んでいると、映画だけ見た人に伝わるのかなとちょっと心配になります。

私がミツルの気持ちをどうにも飲み込めないのは、自分の負の部分を認めて世界を受け入れるということに対する考え方の違いがあるからかもしれません。私はもろもろ含めて自分のことが好きだから。
蛇足だけれど、自分のことを好きになりたいと願う人へ↓。
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